成果主義とは?

これまでの年功型賃金では、環境的にも構造的にも企業経営を圧迫するので、導入されたのが成果主義、という考え方です。

成果主義とは、昇進・昇給の基準を「仕事の成果」に置き、目標管理制度などを使って昇進・昇給の評価・判断をします。実年齢や勤続年数によって昇進・昇給が決まる年功主義に代わり、バブル崩壊前後から多くの企業が導入しました。成果主義制度では、年齢・職階に依らない思い切った処遇ができるようにし、労働者の意欲を向上させることを意図しています。

成果主義導入の背景

成果主義が導入された背景をまとめると以下の3つになります。

バブル崩壊以降の厳しい経済状況の中、日本的雇用制度である年功序列・終身雇用制度の見直しが図られました。
かつての日本的雇用制度は、一旦ひとつの会社に就職したら、転職することなく定年まで勤め上げることを前提に、若いころは低賃金で働き、年齢が上がるにつれて賃金が上がっていく、
すなわち、結婚して子供を持ち、家を買い…といった当時のライフスタイルに合うように、賃金制度も決められていました。
そして、社員は家族同様の存在だという、日本の伝統的な雇用スタイルが基礎にあったからですが、時代・景気の変化の中で、日本の雇用スタイルを変えていかざるを得なくなりました。

また、企業が定年まで社員の面倒を見られなくなったと同様に、転職をする人が増え、同時に派遣社員や契約社員といった、今までにない新しい就業スタイルが生まれ、根本的に人事制度の見直しを図らなければならなくなったのです。

成果主義のメリット

では具体的に成果主義のメリットとデメリットとはどんなものが挙げられるのでしょうか。以下に挙げておきます。

1.評価の公平性

大量生産時代には生産量と時間には関連性があり、また、大規模な組織単位での労働が主を占めていたことから、時間制や年功序列でも評価はおおむね公平でありました。しかし、第三次産業が盛んになり、特に知識産業においては生産性は時間に換算されるものではなく、個人や組織の能力に依存するものであり、その個人や組織の能力を評価するのがより公平である、とするものです。

2.労働意欲の向上

成果が賃金に直接反映する成果主義では、向上心がある人はより自分を高めようと努力するでしょう。成果を上げているにも関わらず、成果を上げられない人と同じ、あるいはそれ以下の賃金だと不満が募り、結果として生産性が落ちてしまう危惧がありますが、成果によって賃金が決まることで高い生産性を維持できます。

3.経営合理化の推進労働意欲の向上

経営側にとっては、優秀な社員を優遇することでモチベーションを高め、生産性を上げられる一方、そうでない社員には収入面での不利を通じて退職を促し、人件費の抑制ができます。あるいは、合理化や組織改変による人員整理などの場合に、理由づけができます。

成果主義のデメリット

社員の定着率の悪化と疲弊、モチベーションの低下を招く

会社が定めた数値達成に追われることで、結果として評価対象の社員をただ追い立てるだけとなり、社内全般を疲弊させます。

たとえば、成果主義が成績・給与に反映されにくい、あるいは業務内容が数値目標に置き換えにくい部門やノルマ達成が困難な部門などでは、成果主義を明確に反映しづらいと言えます。そういう部署では社員が短期間での離職率が増加、結果として定着率が低下する事も起き得ます。

結果、社員を常に補充しなければならなくなり、数的な確保はもとより、業務に必要なスキルと経験を持つ社員の確保に苦しむことになります。

また、成果主義の下では、成果を上げた年下の社員が年上の社員を部下に持つことが往々にあります。業務での成績は極めて優秀であっても、人間的に成熟していない人物が上司に昇進することもあり、パワーハラスメントや管理力不足で職場での連帯感を著しく落としめ、結果として部署のやる気をなくし、生産性を落とすこともあります。

個人主義が蔓延

個人に成果を求めるがあまり、部署の実績よりも個人の成果達成のみを優先させて、組織全体の利益を著しく損ねる場合があります。

例えば、同僚の作業に非協力的になったり、部署内での足を引っ張り合いや、顧客の奪い合いといった問題が起こり、結果内部統制に支障をきたします。

また、社員全体がライバルと考え、部下育成などの仕事をやりたがらず、企業全体の人材育成能力にも多大な悪影響を及ぼす様になります。

そもそも成果とは何かを定義することが難しい

そもそも、成果主義の根本である、何を持って成果とするか、その評価の基準を定めることは容易ではありません。

営業職などは比較的成果を数字で表しやすいのですが、人事や経理、広報部門などでは成果を数値で表す有効な指標は存在していないのが実情であり、また、研究・開発部門における長期的な業務についても、その評価を下すことは極めて難しいと言えるでしょう。

そして、受注段階から赤字となるような業務プロジェクトの場合、その担当者はどんなに努力をしても評価が上がらず、「頑張った者負け」の気風が蔓延し、社員のモチベーションを落としてしまうこともあります。

また、人事課や総務課が評価を行う場合、他部署の評価が厳しくなる一方で、身内である同課内の評価が甘くなるなどの不公平の存在は少なからず見られ、これが他部署の人員からの潜在的な不満を発生させる要因となる事も多いです。

目標の短期化

短期的に成果が求められるため、研究開発など試行錯誤が求められる分野では、確実に成果を残せる取り組みだけが優先され、リスクを伴うような積極的な挑戦が行われなくなることがあります。

また、小さくても成果を確実に達成するほうが成果主義制度では評価が高くなるので、社員もリスクを取らず、確実なノルマ達成とミスの撲滅だけが仕事の目的となってしまい画期的なプロジェクトなどが作られにくくなります。

結果、進取・独創の気風が社内から失われ、会社全体の競争力が失われていきます。

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